イデコ(iDeCo)への加入、活用を考えるきっかけの多くは
「公的年金だけでは老後の生活費が不安」
という危機感からです。
今回は会社員のリタイア後の生活費はどのくらいかかるのか、公的年金でどのくらい補えるのか、そしていくら不足しているのかを公開されている統計・調査資料からおさらいしてみたいと思います。
平均的な老後の生活費は月額約27万円
2021年1月時点で総務省から公開されている最新の家計調査年報(令和元年(2019年)版)によると、高齢夫婦無職世帯の生活費は月額約27万円という数字が示されています。
ゆとりある生活のためには月額約36.1万円必要
生命保険文化センターが行った意識調査「生活保障に関する調査」(令和元年度)によれば、旅行やレジャー、趣味や教養、日常生活の充実といった点を満たせる「ゆとりある老後生活費」は月額36.1万円という結果でした。
会社員がもらえる公的年金は月額約22万円
公的年金としてもらえる金額は、加入している年金の種類と加入期間によって異なります。
厚生労働省の公表している資料「令和2年度の新規裁定者(67 歳以下の方)の年金額の例」によると、40年間国民年金のみに加入して満額の給付資格を得ている人(自営業者等)は、月額約6.5万円を老齢基礎年金を受け取ることができます。
会社員の場合は、国民年金の上乗せとして厚生年金にも加入しているため、厚生年金からも給付を受けることができます。
厚生労働省の同じ資料によると、自身が会社員で配偶者が専業主婦(主夫)の場合に厚生年金から給付を受けることができる金額として月額220,266 円(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)が例示されています。
平均的な老後生活には毎月5万円、ゆとりある生活には14.1万円不足
総務省の資料にある高齢夫婦無職世帯の生活費は月額27万円
ゆとりある生活に必要な金額は月額36.1万円
そして会社員(厚生年金加入者)の平均的な年金受給月額は約22万円なので、平均的な生活費からは毎月5万円、ゆとりある生活費からは毎月14.1万円不足していることになります。
老後の備えはイデコ(iDeCo)で
会社員をリタイアした後に収入の基盤となるのは公的年金ですが、ここまで見てきたように公的年金だけで生活水準を維持することは難しそうということが分かります。
そのような背景を踏まえ、国は国民が老後資金作り、自分年金作りをするための支援制度として、確定拠出年金制度を設けています。
確定拠出年金は強力な税制優遇・節税効果を備えた制度ですので、勤務先の企業で企業型の確定拠出年金がある人は、会社の制度を、そうでない場合は個人型確定拠出年金(イデコ・iDeCo)を活用するなどし、老後のための準備をする必要があります。